はじめに
「ブセファランドラを始めてみたいけれど、種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からない」。そう感じる方もいると思います。
ブセファランドラは、流通している品種名がとても多いです。ただ、葉の大きさ・難しさ・発色で整理すると、選び方はシンプルだと思います。
この記事では、主な8品種を一覧にまとめ、違いと選び方を紹介します。育てている品種には、私の観察記録も付けています。
ブセファランドラとは
ブセファランドラは、サトイモ科の水草です。ボルネオ島(マレーシア・インドネシア)の清流に自生し、この島の固有種とされています。岩場や倒木に活着(かっちゃく:根を張り付かせて定着すること)して育ちます。光の当たり方で、葉が青みや金属光沢を帯びるのが、いちばんの魅力だと思います。
成長はとてもゆっくりで、CO2を添加しなくても育てられるので、陰性水草の入門種としても、よく名前が挙がります。
基本データ|光量・CO2・水温・底床の目安
品種ごとの違いに入る前に、ブセファランドラ全般に共通する管理条件をまとめます。右の列は、私が実際に管理している環境の数値です。
| 項目 | 目安 | 私の環境での実際の管理 |
| 光量 | 弱め〜中程度で十分 | フラッティ系LEDを使用。水上ケースの照明時間は17〜24時(1日7時間) |
| CO2 | 不要 | 水上ケースは無添加。水中葉のビブリスは、大磯砂利の60cm水槽で、CO2なしの時期から育てています |
| 水温 | 25℃前後が目安 | 水中飼育の水槽は25℃設定。水上ケースは冬季のみ水中ヒーターで補温 |
| 水質 | 軟水〜中軟水を好む | 補水・希釈に使う浄水器水のTDSは原水実測で53ppm程度(詳しくは腰水管理の実測記事) |
| 底床 | アマゾニア・軽石・赤玉土などが一般的 | 品種ごとの実際の底床構成は下記「各品種の特徴」の育成メモを参照 |
※ 水温・水質の実測値は、私の環境でのものです。ブセファランドラ全般の適正値ではなく、1つの実例として見てください。
主な種類一覧
| 品種名 | 葉の大きさ | 特徴 | 難易度 | 入手しやすさ |
| クダガン | 小型(1〜2cm) | 丸みのある卵形の葉・よく見かける | ★☆☆ | ◎ |
| ビブリス | 中型(3〜5cm) | フリル状の葉縁・深緑〜明るい緑 | ★☆☆ | ◎ |
| アップルリーフ | 中〜大型(4〜7cm) | リンゴのような楕円形の葉・光沢あり | ★★☆ | ○ |
| ティアグリーン | 中型(3〜5cm) | 青みがかったメタリック光沢・波打つ葉 | ★★☆ | ○ |
| ディープブルー | 中型(3〜5cm) | 深い青紫のメタリック光沢・希少性高い | ★★★ | △ |
| ミニコイン | 極小型(1cm以下) | コイン状の丸葉・超小型でレイアウト向き | ★★☆ | △ |
| ウェービーグリーン | 中型(3〜5cm) | 大きく波打つ緑の葉 | ★☆☆ | ○ |
| グリーンウェービー | 小〜中型 | ウェービーグリーンより葉が細め | ★☆☆ | ○ |

上の表を、「サイズ・難易度・発色」の3つの軸で並べ直した図です。右上ほど、葉が大きく難しい品種になります。初めての1株は、左下(やさしい・小さめ)から選ぶと失敗しにくいと思います。
ブセファランドラの人気ランキング|初めての1株に迷ったら
「結局、どれを選べばいいの?」という方に向けて、入手しやすさ・価格帯・活着のしやすさをもとに、おすすめ順をまとめました。販売数などのデータにもとづく順位ではありません。育てやすさを軸にした、私の評価です。
- クダガン:流通量が多く、価格も安定しています。小型でボリュームも出しやすく、最初の1株の定番です
- ビブリス:フリル状の葉が個性的で、水上葉・水中葉のどちらでも楽しめます。私が最初に選んだ品種でもあります
- ティアグリーン:発色にこだわりたくなったら次に選びたい1種。青緑のメタリック光沢が写真映えします
- ウェービーグリーン/グリーンウェービー:クダガン・ビブリスに次ぐ入手しやすさで、レイアウトのアクセントにも使いやすい2品種です
- アップルリーフ:大きめの葉で存在感を出したい人向け
- ディープブルー:発色はとてもきれいですが、やや手に入りにくく価格も高めです。2品目以降に選ぶのがよいと思います
- ミニコイン:極小サイズで管理難度がやや上がるため、中級者向けです
用途別の選び方は、次の「品種の選び方」で紹介します。
各品種の特徴
「育成メモ」の付いた品種は、私が実際に育てている株の観察記録です。育成メモのない品種(クダガン・ミニコインなど)は、まだ育てていないので、流通している情報をもとに紹介しています。
クダガン|初心者に最もおすすめ
よく流通していて、価格も手頃な品種です。小ぶりで丸みのある葉が密に茂り、ボリュームが出やすいのが特徴です。コレクションを始めるなら、まずこの品種がおすすめだと思います。
- 葉のサイズ:1〜2cm程度
- 発色:緑〜深緑、光沢あり
- 活着のしやすさ:○(根付きやすい)
ビブリス|フリル葉が個性的
葉の縁が細かく波打つ「フリル状」の葉形が独特で、ほかの品種とはっきり区別できます。水中葉と水上葉どちらでも楽しめ、環境に慣れると安定して育ちます。育て方についてはブセファランドラ ビブリスの育て方で詳しく解説しています。
- 葉のサイズ:3〜5cm程度
- 発色:明るい緑〜深緑
- 活着のしやすさ:◎
育成メモ:水上葉・水中葉の両方で育てています。水上葉は、浄水器の水とミストで管理している湿潤ケースで、新芽が安定して出ます。水中葉は、大磯砂利の60cm水槽で、CO2なしの時期からゆっくり育っています。最初の1株として扱いやすく、増やしやすい品種だと感じています。

アップルリーフ|存在感のある大型葉
名前の通り、リンゴのような丸みのある楕円形の葉が特徴です。ブセファランドラの中では葉が大きめで、水槽の中でも存在感があります。成長はほかの品種と同じくゆっくりですが、新しい葉が出るたびに光沢がきれいに映えます。
- 葉のサイズ:4〜7cm程度
- 発色:深緑〜暗緑、光沢強め
- 活着のしやすさ:○
育成メモ:マリーナS(小型水槽)に軽石2cm+アマゾニアVer2を5cm敷いた湿潤ケースで、水上で育てています。葉が大きいぶん1株でも見栄えがあり、湿潤ケースの主役になります。成長はゆっくりなので、焦らず新しい葉を待つのがコツだと感じています。

ティアグリーン|青みのメタリック光沢が魅力
「ティア(teal:青緑色)」の名の通り、青みがかったメタリック光沢が特徴です。光の当たり方で見え方が変わり、写真映えする品種です。波打つ葉の質感も独特で、コレクションに1株は加えたい品種だと思います。
- 葉のサイズ:3〜5cm程度
- 発色:青緑〜深緑のメタリック
- 活着のしやすさ:○
育成メモ:親株を湿潤ケース(アマゾニアVer2・フラッティ照明)で育てています。立ち上げから1週間で、新芽がいくつも出ました。2週間目には、波打つ葉に青緑の光沢がはっきり見えてきました。私の環境では新芽が出るのがいちばん早く、育てていて楽しい品種です(成長の記録は育成日記vol.1に書いています)。

ディープブルー|希少種で上級者向け
深い青紫の光沢を持つ品種です。流通量が少なく価格も高めですが、発色は格別だと思います。輸入株には農薬が残っていることがあるので、エビ水槽に入れる前に、水上化で農薬を抜くのがおすすめです。私が実際に行った手順は、輸入水草の農薬対策に詳しく書いています。ミナミヌマエビを使って安全かどうかを確かめる方法(バイオアッセイ)も、あわせて紹介しています。
- 葉のサイズ:3〜5cm程度
- 発色:深い青紫のメタリック光沢
- 活着のしやすさ:△(やや根付きに時間がかかる)
育成メモ:2026年5月23日に輸入株3株を迎え、軽石+ソイルの湿潤ケース(蓋密閉)で水上化しながら農薬を抜きました。ミナミヌマエビ5匹による約81時間のバイオアッセイで5/5生存を確認し、2026年7月7日に除去完了と判定しています。判定後は1株をエビ水槽へ、残り2株はケースでの管理を続けています。正面からの拡散光では、ほぼ黒に近い深緑にしか見えません。ところが、ケースの中で照明が斜めに当たる角度だと、葉の表面いっぱいに青白いラメが浮かび上がります。この「見る角度で色が変わる」現象は、色素ではなく構造色(光の干渉)によるものです。青ラメの構造色を解説した記事で、実際の比較写真とあわせて紹介しています。


ミニコイン|極小サイズのレイアウト向き
葉の直径が1cm以下という極小サイズが特徴。石組みや流木の細かい部分に活着させるレイアウト用途に向いています。小さいぶん成長を確かめにくく、中級者以上向けの品種です。
- 葉のサイズ:1cm以下
- 発色:緑〜深緑
- 活着のしやすさ:△(葉が小さく管理に注意が必要)
品種の選び方
初めてのブセファランドラなら
クダガンかビブリスから始めるのがおすすめです。流通量が多く、価格が安定していて、育てやすいと思います。
メタリック発色にこだわるなら
ティアグリーンかディープブルーがおすすめです。ただ、ディープブルーは価格が高く、農薬を抜く手間がかかることもあるので、まずティアグリーンで試すのが無難だと思います。
レイアウトに使いたいなら
ミニコインかクダガンが向いています。小型なので石や流木の細部への活着に使いやすく、ほかの水草と組み合わせやすいです。
水上葉育成にも挑戦したいなら
ビブリスかウェービーグリーンがおすすめです。水上葉と水中葉のどちらでも楽しめます。
私は、水中より水上のほうが育てやすいと考えています。水中はコケのリスクがあり、水質にも左右されやすいからです。水上は、肥料を効かせすぎて無理をさせなければ、比較的失敗しにくいです。特に希少な品種は、水上で安定させてから水中化するほうがよいと思います。品種によっては、水中化が難しいものもあると聞きます。
育成でつまずいたら|実測データで原因を切り分ける記事
どの品種を選んでも、育て方を間違えると、溶ける・黒腐れる・蒸れるといったトラブルは起こります。実測データをもとに、原因を切り分けた記事を書いています。
- 「ブセファランドラが溶けた」原因を切り分ける|黒腐れ・蒸れ・肥料焼け・農薬…症状別フローチャート
- 水上葉ケースの腰水は「交換」が要る|無施肥なのに硝酸塩が250mg/Lまで溜まっていた実測
- ブセファランドラの水上栽培|密閉ケースの温度は何℃上がるのか?26日間・約3.6万分の実測ΔTデータ
つまずいたときは、これらの記事で原因を確かめてみてください。
品種名についての注意点
ブセファランドラは学名が整理されていない品種が多く、同じ株が複数の品種名で流通していることがあります。買うときは、品種名よりも実物の葉の形・大きさ・発色を見て選ぶのが確実です。
特に、ウェービーグリーンとグリーンウェービーは、名前はそっくりでも別の品種です。葉の幅や波打ちの強さが違いますが、流通名は混同されやすいです。
まとめ
- ✔ 初心者には流通量が多く安定している「クダガン」「ビブリス」がおすすめ
- ✔ メタリック発色が目的なら「ティアグリーン」「ディープブルー」(ディープブルーは価格が高めで、やや手に入りにくい)
- ✔ 品種名より葉の実物(サイズ・形・発色)で選ぶのが確実(学名が整理されておらず、同じ株が別の名前で売られていることがある)
同じブセファランドラでも、品種ごとに成長の速さや発色の出方はかなり違います。ゆっくり育つ水草なので、1種類ずつ増やしていくのが楽しいと思います。


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